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イラン女性副大統領来日 過激主義より穏健主義 国際社会との関係強化に意欲

Thursday, April 3, 2014

パンオリエントニュース

来日中のイランのマスメ・エブテカール副大統領兼環境庁長官が、3日、都内のホテルにて講演し、昨年誕生した穏健派のロハニ大統領の下、イランが順調に改革の道を歩んでいることを説明した上で、ロハ二大統領が昨年国連総会で提言した「新しい希望、紛争よりも対話を、過激主義よりも穏健主義を求める希望」を国際社会が協力して推進していくべきだと訴えた。

「昨年選出されたロハニ大統領は、多様な政治家が政治参画する社会、開かれたイラン社会をつくることに尽力している。ロハニ氏が就任してから為替は安定し、外国からの投資も増えた。今後も穏健主義を軸として、改革を進めて行く」と述べ、前政権期に比べイランが順調に転換期を進んでいっていることをアピールした。

昨年11月にイランと欧米など6カ国が暫定合意した核問題交渉に関しては、イランは交渉を成功させる意欲があるとしつつも、イランの核の平和利用の権利は他国と同様認められるべきだと訴えた。また、交渉は両者が合意できなければならないとして、「双方に利益のある合意が形成されることを願っている」とした。今後の対米関係については核交渉が成功し相互の不信が解消されれば国交樹立の可能性はあるとしつつも、「米国がイランと『対等な関係』を築かねばならない。米国の方が優位にあるような態度ではイランも応じない。しかし対等な関係が築かれれば、世界のテロや暴力、麻薬といった様々な問題に恊働していけると思う」とした。

イランは中東情勢に大きな影響力を持つが、地域の、特にGCC諸国との間には問題を抱えている。エブテカール副大統領はロハニ大統領が地域の安定のためにもGCC諸国を含む地域諸外国との関係を強化していくことを最優先事項の一つとして掲げいてることを説明した。また、イランとGCC諸国の対立が大きく絡むシリア紛争については、エブテカール副大統領は、「アサド政権は国民が立ち上がった当初に適切に対応しなかったこと、そして外国勢力の介入でシリア紛争は非常に複雑化してしまった。しかし、イランは今後もテロリスト達をシリアから除去すること、そしてシリア国民の意思を尊重することを基軸に支援を続けていく」と述べた上で、地域の諸外国、国際社会も停戦をもたらすための正しい道筋を歩むことが必要であるとした。

エブテカール氏はイラン初の女性副大統領兼環境庁長官。1997年から2005年まで同職に就いていた。イランでの環境問題の改善に尽力してきたことに加え、市民社会、女性問題についても取り組んで来た。2013年9月に副大統領兼環境庁長官に再任。今回の訪日中、石原環境相と会談し、イランと日本の環境分野の協力推進に関する覚書に署名したほか、安倍総理とも会談した。(東京 - 柴田真也子)

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Photo: 笹川平和財団主催の講演会にて出席者の質問に耳を傾けるイランのエブテカール副大統領



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