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福島第1原発事故処理問題 「国際社会はより深い理解を」原子力規制委員会委員長 田中氏

Monday, September 2, 2013

東京 - 原子力規制委員会の田中俊一委員長は、2日、都内の日本外国特派員協会で会見し、福島第1原子力発電所からの汚染水流出問題について海洋に放出することはさけられないという考えを示しつつも、放射性汚染物質が環境上に放出されることは人類史上初めてではないとし、国際社会からの理解を強く求めた。

「歴史的に見れば太平洋上の核実験も起こって、様々なことがあった。私が子供の頃は雨の日には帽子をかぶらなければ髪の毛が抜けてしまうよ、と言われるほど大気中の放射能レベルは今より数万倍高かった。そのような過去を踏まえ、私どもは福島事故の後始末は精一杯努力をしているということに理解を示して頂きたい」と述べた。

冷戦下、米国とフランスは1946年から1968年までの間に太平洋上で核実験を数百回に渡り実施。大量の放射性降下物が大気中に拡散した。

しかし委員長は同時に福島第1原発は現在も不安定な状態であるとし、他の原発と比べ「敷地内のがれき一つ動かすのにも通常の発電所とは全く異なるリスクが伴う」と表現し、事故が現在も収束した段階ではないという認識を示した。

さらに、東京電力(TEPCO)の事故処理管理に対し「汚染水放出問題はTEPCOがタンクの水位を把握していなかったというようなルーズな管理を行っていたことを示している。原子力規制委員会はこの点に関し厳しい指導が必要であるとしている」と非難する様子を見せた。

7月に改正された原子炉等規制法により規制委員会はより強い権限が与えられ、委員会が提示する規制や安全対策を遵守するようTEPCOに提示することが出来るようになった。「これまで様々な事故処理対策がされてきたが、応急措置的な対応が行われてきた。今後は原子炉規制法の中の特定原子力施設として法的に規制できるようになった」とし、本格的な事故処理が開始されるようになることを示唆した。しかし、「廃炉措置が終わるまで今後30年、40年と長い時間がかかる」と述べ、福島第1原発の事故処理が簡単に終わるものではないことも認めた。


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